キャリア戦略

キャリア形成とは?働き方をより良いものに変えるためのポイントを解説

2022.9.16

  • #キャリアプラン

働き方改革・少子高齢化などにより、終身雇用制度への期待値も下がり、若年層を中心に転職率が高まっている傾向です。先行きの見通しが立たない「VUCAの時代」を生き抜くためには、自らの働き方とキャリアを自律的にデザインし、実践していく取り組みが必要です。

VUCAとは
別名:Volatility, Uncertainty, Complexity, Ambiguity、不安定・不確実・複雑・曖昧
当世を端的に表現するキーワードとしてしばしば言及される語。不安定さ、不確実さ、複雑さ、曖昧さという、困難な状況が世の中に通底しているという見方を示す。
VUCAの語は軍事分野で用いられ始めたとされ、1990年代にはすでに登場している。2010年代には経営・マネジメントの文脈においてVUCAがキーワードに取り上げられ、あらためて注目を集めている。

Weblio辞書より引用

この記事では、キャリア形成の基本的な考え方と、働き方をより良くするために気を付けるべきポイントについて解説します。

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キャリア形成の解像度がビジネスマンの未来を左右する

まずはキャリア形成の基本的な考え方について解説します。

キャリア形成とは

キャリア形成とは、「ビジネスにおいて、どのようなキャリアを積み上げていくか」という計画(=キャリアプラン)に基づき、資格や経験、スキルを習得するプロセスを指します。

キャリア形成とキャリアプランはセットとなるべきものです。それらを包括した、さらに大きな枠組みでのキャリア設計のことを「キャリアデザイン」と呼びます。キャリアデザインは、いわば「人生におけるキャリア構想」です。結婚・出産・転職といったライフプランも含めて、自らのライフワークバランスに応じて設計します。

キャリア形成の目的

キャリア形成の最終目的は、自らの設定したキャリアプランを達成することです。しかし、計画に向かって努力するプロセスにおいて、さまざまな気づきや学び、考え方の変化があります。

  • 使命感を持って自発的に仕事に取り組む
  • 自分が目指すべきことや人を具体的に認識する
  • 周囲から求められている役割や自らの強みを客観的に認識する

キャリア形成の真の目的は、ビジネスに対する主体性を高めることです。仕事に主体性を持って臨む人とそうでない人では、キャリア形成の推進力が大きく変わります。

キャリア形成の重要性が増している5つの理由

キャリア形成の重要性が増している理由として、5つの事柄が挙げられます。

終身雇用への疑念

日本企業の最大手である「トヨタ自動車」の豊田章男社長は2019年5月13日の会見で、「雇用を続ける企業などへのインセンティブがもう少し出てこないと、なかなか終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた」と述べました。

少子高齢化が進むなか、グローバルなコスト競争は激化しており、名だたる大企業であっても慢性的な人手不足、競争力不足は喫緊の課題です。もはや「大企業=安定」という概念は終わりを迎えようとしています。そして時代の変化に伴い、個人の働き方やキャリアに対する意識にも変化が求められているのです。

転職行動の普及

いまやキャリアにおいて複数回の転職が当たり前になりました。

ポスト終身雇用の時代における「安定」の定義は「企業への依存」ではなく、「個人のスキル」にシフトしています。会社に依存しないスキルを身に付けることにより、リモートワークや副業など、場所や時間を選ばない働き方が可能になりました。その結果、転職市場においても個人のスキルが重視される傾向が強まり、キャリア形成の重要性が高まっているのです。

働き方が多様化

厚生労働省は、「働き方改革」の実現に向けた取組みとして、以下の7つを重点的に取り組んでいます。

  • 長時間労働の是正
  • 雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保
  • 柔軟な働き方がしやすい環境整備
  • ダイバーシティの推進
  • 賃金引き上げ、労働生産性向上
  • 再就職支援、人材育成
  • ハラスメント防止対策

このうち、「柔軟な働き方がしやすい環境整備」として挙げられているのが「テレワーク、副業・兼業」です。新型コロナウイルス感染対策の影響でテレワークは急速に普及し、時間や場所を選ばない柔軟な働き方が可能になりました。

働き方が多様化した結果、働く上で最も必要なのは「個人のスキル」であるという気付きをもたらし、キャリア形成の重要性が増しているのです。

仕事の変化

内閣府が提唱する未来社会像「Society 5.0」では、「サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する」としています。

Society 5.0で実現する社会(出典:内閣府HP

IT技術やAIにより新たな可能性が広がる一方で、現在は人が行っている仕事が、遠くない将来にはIT技術やAIに置き換わる可能性があります。今後は機械の代替が不可能なスキルを身に付ける重要性が高まります。

物価の上昇

現在の日本は、景気後退を意味する「スタグフレーション」の状態にあります。

スタグフレーションとは、景気が後退していく中でインフレーション(インフレ、物価上昇)が同時進行する現象のことをいいます。この名称は、景気停滞を意味する「スタグネーション(Stagnation)」と「インフレーション(Iinflation)」を組み合わせた合成語です。

引用:SMBC日興証券「初めてでもわかりやすい用語集」

物価の上昇が続く中でも自らを守るためには、詰まるところ「収入をいかに増やすか」にかかっています。単に収入を増やすだけであれば、預貯金、投資による資産運用、兼業や副業などで実現できますが、将来的なキャリアアップを目指すなら、仕事の賃金を上げることも考えなければなりません。賃金を上げるためには、昇進・昇給や転職をするためのスキルが必要であり、やはりキャリア形成が重要という事実に帰結するのです。

キャリア形成の具体例は?

キャリア形成の具体例をいくつかご紹介します。

資格を取得する

資格取得は、キャリア形成の最も分かりやすい例の1つです。専門的な知識や技能を持っていることの証明になり、キャリアに対する意識をアピールする材料としても使えます。企業によっては資格取得をバックアップする体制が整っているところもあります。今の仕事や将来のキャリアについて考え、どのような資格を取得すればよいかを検討しましょう。

社内研修やセミナーに参加する

「研修」とは、実務で必要となるスキルや知識を一定期間で習得することを指します。近年では社員のスキルアップをサポートする企業が増えており、若手社員を対象にしたセルフマネジメント研修や中堅社員向けのフォロワーシップ研修、メンター研修、管理職向けのリーダー研修などさまざまな種類のものがあります。企業のみならず個人のキャリア形成に大きく役立つものが多いので、積極的に参加するとよいでしょう。

業務以外のことでスキルを身に付けたいなら、セミナーに参加してみるのも一つの手段です。最近はオンライン開催のものも多いので、スケジュールやスタイルに合わせて参加することができます。

書籍から学ぶ

スキルを高めるためには独学が大切です。キャリアやスキルに関する書籍にはさまざまな種類があるので、スキマ時間を有効活用して学習すると効果的です。ただし、本による学習はあくまで「座学」であり、本当のスキルにはなりません。ある程度学習が進んだら実際に行動に移し、経験としてのスキルを得ることが重要です。

転職する

今より高いレベル、異なるジャンルのスキルを求めるなら、転職して環境を変えるという方法もあります。現時点で転職を考えていないという人も、転職を前提にキャリアについて考えてみれば、将来の自分にどんなスキルが必要か気づくきっかけになるかもしれません。選択肢を狭めすぎず、あくまで一つの手段として考えてみるとよいでしょう。

キャリア形成のために意識すべきこととは?

キャリア形成のために意識すべきことについてご紹介します。

Will-Can-Mustを考える

キャリア形成のためには、まず「自分を知る」ことが大切です。そのために効果的な方法として、「Wil-Can-Must」のフレームワークが挙げられます。

  • Will:やりたいこと
  • Can:できること
  • Must:果たさなければならないこと

Will、Can、Mustで3つのベン図を描き、すべて重なる部分が最も満足度の高い状態と言われています。このフレームワークは企業のキャリア研修などでもしばしば用いられ、従業員の希望や能力と仕事の一致・不一致を洗い出すことで、企業と従業員双方の着地点を見出すものです。

「やりたいこと」がどうしても見つからないという場合は、逆に「やりたくないこと」をリストアップしてみるのも一つの手段です。やりたくないことを把握することで、「実はやりたかったこと」が見えてくることがあります。

自分の思考特性・行動特性を知る

人には「論理的か」「直感的か」といった特性の違いがあります。あるいは、1つのことをじっくり深掘りするのが得意なのか、ある程度マルチにプロジェクトを掛け持ちして進めるのが得意なのかといった特性の違いもあるでしょう。思考プロセスや働き方に対する考え方の特徴など、持ち味は人によって大きく違います。自分にはどういった特性があるか、どのような仕事や業務形態が合っているのかをきちんと見定めることが大切です。

メンターを見つける

メンターとは、ビジネスにおいて、また人生において、指導してくれたりアドバイスをしてくれる人のことです。同じ職場に、または社外に、友達に、自分の参考となる人を見つけられれば、キャリア形成の大きなヒントになります。まずは身近にいる優秀と感じる人から、「この人は誰から学んでいるのか」「どういった人脈を得ているのか」を聞くところから始めてみるとよいでしょう。

意外なところでは、面白いと感じた本の著者をメンターとするのもねらい目です。あとがきの感想フォーム、SNSなどから著者と直接コンタクトを取ってみることで、新しい縁が生まれるかもしれません。

キャリアデザインの観点について

最後に、キャリア形成のために不可欠なキャリアデザインの観点についてご説明します。

キャリアデザインの考え方とは

キャリアデザインとは、キャリア形成やキャリアプランより上位に位置する概念であり、自身の人生を通してキャリアについて考えることを指します。これまでのキャリア、現在のキャリア、そしてこれからのキャリアを一本の線のように描く、人生におけるキャリア構想です。「デザイン」なので精巧な内容である必要はなく、必要に応じて軌道修正しつつ、重要な骨子を作っていくイメージです。

キャリアデザインを考える際に重要なのが、「自分の市場価値」という観点です。ビジネスパーソンの市場価値は「ポジション」「スキル」「業種」「経験」「コンピテンシー」そして「スキル」で決定しますが、それらを正確に把握することによって、次の一手が決まってくるのです。

キャリアデザインの事例

キャリアデザインは、共通の社会課題を解決するためにも必要なものです。多くの企業でキャリアデザインの設計支援が実施されており、厚生労働省が毎年「グッドキャリア企業アワード」として好事例集を公表しています(2021年度は中止)。一部ですが、企業の導入事例をご紹介しましょう。

●株式会社JTB

旅行代理店大手の株式会社JTBは、経営改革の柱として「キャリア改革」を掲げ、全社を上げてキャリアデザインの設計支援に取り組んでいます。社内育成プラットフォーム「JTBユニバーシティ」では年間800本以上のウェビナーの実施、eラーニングの作成、キャリア開発支援などを行っています。2019年から社内講師による動画講座は「必要な時に、必要な学びの提供」を掲げてLMSを導入し、情勢に応じた学びのサービスを提供し続けています。また、人事評価制度で利用する「成果プロセス評価シート」にもキャリア支援の内容を取り入れ、日々の仕事に活かせるよう意識しています。

●万協製薬株式会社

三重県の製造業「万協製薬株式会社」は、阪神大震災で被災して拠点を三重に移転したという異例の経歴を持つ会社です。地元で雇用創設する必要があり、「社員に融通が利く仕組みづくり」の一環としてキャリアデザインの取り組みを始めました。年度初めに個人面談を行ってキャリアアッププランを作成し、上司が常にフォローすることによって、将来的なキャリアについて考える機会を設けています。さらに、社員のモチベーションを高めるさまざまな取り組みを行う中で、社員一人一人が個々の成長(キャリア)の重要性を理解し、高める努力をしています。

参考:グッドキャリア企業アワード2020

【まとめ】スキルを高めたいならフリーランスもあり

リモートワークや副業、転職などさまざまな働き方が広がるなか、どんな環境であってもサバイブできるスキルこそが必要であり、キャリア形成の重要性は増す一方です。会社も組織も自分のキャリアを保証してくれなくなった今の時代、主体的なキャリア形成が「自分らしく働く」ための道しるべになります。自分の身を自分で守り、働き方をより良いものに変えるため、改めて今後のキャリアについて見直してみてはいかがでしょうか。

場所に縛られない、より自由な働き方を提供したいという想いで活動しているRemoters。

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