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ベンダーSEと社内SEの違いとは?仕事内容や必要スキルをSE経験者が解説

2023.1.16

  • #コラム

SE(システムエンジニア)はシステム開発業務を行う仕事ですが、立場によってさまざまな働き方があります。たとえば所属する企業によってベンダーSEと社内SEに分かれますが、それぞれの仕事内容や働き方の違いについてよくわからない方もいるでしょう。

そこで本記事では、ベンダーSEと社内SEの違いについて、仕事内容や働き方、必要スキルなどの観点でベンダーSEと社内SEの両方を経験した立場から解説します。

SE(システムエンジニア)とは

そもそもSE(システムエンジニア)とは、その名の通り「システム」に関する「エンジニア(技術者)」です。システムの概念は幅広く、以下に挙げるようなIT分野を総称して指す場合が多いです。

  • アプリケーション
  • データベース
  • ネットワーク
  • インフラストラクチャー
  • セキュリティなど

上記の分野を特定して「アプリケーションエンジニア」や「ネットワークエンジニア」と呼ばれることもありますが、いずれもSEの一種と捉えてよいでしょう。

さらに、アプリケーションを1つとっても、JavaやPython、Rubyなどさまざまな開発言語で制作されます。

このように、SEの指す範囲は幅広く、同じSEでも守備範囲となる領域は異なることが一般的です。本記事では、SEを「ベンダーSE」と「社内SE」の立場に分けて解説します。

ベンダーSEの概要

ベンダーSEとは、ベンダー側(開発受託側)の立場でシステム開発に従事するSEです。「SIer」や「開発側SE」などと呼ばれることもあります。

ベンダーSEの主なミッションは、受注したシステム案件を確実にユーザーへ提供することです。確実なシステム提供を行ううえでは、QCD(品質・コスト・納期)を担保することが重要となります。

社内SEの概要

社内SEとは、ユーザー側(開発委託側)の立場でシステム開発に携わるSEです。「ユーザー側SE」や「事業会社の情報システム部門」などと呼ばれることもあります。

社内SEの主なミッションは、システムを活用して所属する事業会社のビジネス成果を高めることです。事業会社のビジネス成果を高めるためには、システムに関する知見だけでなく、ビジネス現場の適切な現状把握や課題抽出も重要となります。

つまり、社内SEは「SE」ではあるものの、ビジネスとITの中間的な役割を担うことが多いでしょう。

上流SEの概要

ちなみにSEは、システム開発工程の切り口で分けられることもあります。システム開発工程は大きく「上流工程」と「下流工程」に分けられ、たとえば上流工程(要件定義や設計など)を中心に担うSEは上流SEと呼ばれます。

上流SEについて詳しく知りたい方は、以下の参考記事も合わせてご確認ください。

ベンダーSEと社内SEの違いを比較

ベンダーSEと社内SEの違いを詳しく見ていきましょう。以下の観点から違いを解説します。

  • 仕事内容
  • 必要なスキルや獲得できる経験
  • 労働時間
  • 特殊勤務(夜勤や障害対応など)
  • 待遇面(給与など)

仕事内容

ベンダーSEは、システム開発を受託する立場であるため、やはりシステム開発の実務が中心となります。

たとえばアプリケーションエンジニアであれば、アプリケーションの設計や実装、テスト、リリース作業が多くなるでしょう。インフラ系のエンジニアであれば、サーバーの調達や設定などの実務が中心となります。

対する社内SEでは、IT技術の専門的な要素は薄くなります。仕事内容はシステム開発の実務というよりは、社内のビジネス部門とのやり取りが多いです。

たとえば以下が挙げられます。

  • 社内のビジネス部門からのシステムに関する問い合わせ対応
  • 社内のシステム説明会の企画・開催
  • 業務現場の課題のヒアリングなど

必要なスキルや獲得できる経験

ベンダーSEでは、従事するシステム開発の専門性が求められます。システム開発を受託する立場であるため、要件通りのシステムをスケジュール遵守で納品する必要があります。

たとえば、フロントエンド開発に従事するSEであれば、HTMLやCSS、JavaScriptなどの専門性は欠かせないでしょう。

その分、IT専門職として実務を行う時間が多いので、対象分野のITスキルの習得はしやすいといえます。

一方で社内SEとして必要なスキルは、一言でいえば「調整力」です。ITを使って所属する事業会社のビジネスに貢献するためには、経営層や業務現場、ベンダーSEなどさまざまなステークホルダーと協力しなければなりません。

たとえばIT企画を立ち上げる際は、社内決裁や費用負担の部門間調整、発注先の選定など、さまざまな調整業務が発生します。

そのためITスキルを純粋に磨く機会はベンダーSEほど多くありませんが、マネジメント経験は積みやすいです。

労働時間

労働時間については、所属する会社やプロジェクトの状況にもよるため一概にはいえませんが、経験上は社内SEのほうが残業少なめです。

ベンダーSE時代は、平均して20時頃まで残業し、終電で帰宅することが何回かありました。一方で社内SE時代は、基本的には18時~19時で終業し、どんなに遅くても22時を超えることはありませんでした。

周囲の上司や同僚を見ても同様だったため、一般的な傾向として社内SEのほうが労働時間は少ないといえるでしょう。

特殊勤務(夜勤や障害対応など)

夜勤やシステム障害対応などの特殊勤務面は、ベンダーSEのほうが多くなります。やはりベンダーSEはシステムの運用保守にも直接的に関わるため、夜間帯のメンテナンス業務やリリース作業、システム障害時の緊急対応はつきものです。

社内SEの立場では、基本的に夜勤やシステム障害対応を行う機会は少ないでしょう。経験上、社内SEになってからは夜勤やシステム障害対応は一度もありませんでした。ただし、社内SEでも課長職などの責任になると、システム障害時の緊急連絡先に掲載され、万が一の際に電話が来る可能性があります。

待遇面(給与など)

給与などの待遇面については、所属する会社などにもよるため一概にどちらが高いかを判断することは困難です。ただ、ベンダーSEは夜勤や休日対応などの特殊勤務分の手当が乗ることが多いので、その分収入は高くなる傾向があるでしょう。

ベンダーSEと社内SEの両方を経験上した立場から見ると、基本給や賞与などはあまり変わりませんでした。一方で総支給額を見ると、残業時間の長さや夜勤の多さによってベンダーSE時代のほうが収入は高かったです。

ベンダーSEに向いている人の特徴

それでは、ベンダーSEおよび社内SEには、それぞれどのような人が向いているのでしょか。ここでは、まずベンダーSEに向いている人の特徴を以下3点解説します。

  • 仕事優先でキャリアをどんどん磨いていきたい人
  • 特定のIT専門領域を深めていきたい人
  • システムに関わる仕事が好きな人

仕事優先でキャリアをどんどん磨いていきたい人

ベンダーSEは生活に占める労働時間の割合が高くなりがちなので、仕事優先でキャリア志向の強い人に向いているといえます。

たとえばリリース直前などは多忙を極め、場合によっては終電帰りの日が続く可能性もあります。

夜勤による生活リズムの逆転なども生じやすいので、生活のなかで仕事の優先順位を高く設定できる人のほうが働きやすいでしょう。

特定のIT専門領域を深めていきたい人

スペシャリストとして特定のIT専門領域を深化させたい人には、ベンダーSEのほうがおすすめです。ベンダーSEはシステム開発の実務に携わる機会が多いため、仕事をしていくなかで自然と専門性を深められます。

将来的にITエンジニアとして独立したい人などにとっては、社内SEよりもベンダーSEのほうが適しているでしょう。

システムに関わる仕事が好きな人

ベンダーSEは開発側の立場のため、システムの改修やテスト作業を行う時間が多いです。

そのため、対人調整が生じるコミュニケーション業務よりも、システムに関わって仕事を進めることが好きな人にはベンダーSEがおすすめです。

社内SEに向いている人の特徴

次に、社内SEに向いている人の特徴は以下の3点です。

  • ワークライフバランスを重視する人
  • スペシャリスト志向よりもジェネラリスト志向な人
  • システム開発に関係ない業務も前向きに行える人

ワークライフバランスを重視する人

ワークライフバランスを重視する人には社内SEが向いています。社内SEは基本的に夜勤やシステム障害対応を行わないため、配偶者や子どもがいる場合でも生活の時間帯を合わせやすいです。

スペシャリスト志向よりもジェネラリスト志向な人

社内SEの立場では、ITのスペシャリストとして専門性を深めることは容易ではありません。ビジネス部門からの問い合わせ対応や、社内向けの基本的なシステム操作説明会などにも相応の時間を割きます。

そのため、社内SEはスペシャリスト志向ではなくジェネラリスト志向の人に向いているといえます。

システム開発に関係ない業務も前向きに行える人

社内SEは、システム開発に直接関係しない業務の割合も増えます。たとえば、部署予算の計画・実績管理や社内の打合せ調整、社用パソコンや社用スマホの管理などです。

これらの事務的な業務も仕事の1つと割り切って前向きに行える人であれば、社内SEでも長く活躍できるでしょう。

【まとめ】SEの働き方は多様!キャリアや働き方の希望に合わせて選ぼう 

SEが指す仕事の範囲は幅広く、専門領域や所属する立場によってさまざまな働き方があります。

ベンダーSEと社内SEにはそれぞれ一長一短あり、どちらが優れているというわけではありません。たとえば、IT専門性を探求したい方であればベンダーSE、ワークライフバランス重視の方であれば社内SEのように、各自のキャリアや働き方の希望に合わせて選択することが重要です。

また、IT専門性を活かして働きたい方は、フリーランスITエンジニアもおすすめです。

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