
ITスキル
セキュリティエンジニアの仕事内容・将来性を現役エンジニアが解説
2023.9.7
ITインフラの整備・拡大やスマートフォンの普及に伴い、私たちは情報もサービスもお金さえも国境を超えて瞬時にやり取りできるようになりました。生活が便利になる反面、世界的に大きな課題となっているのがサイバーセキュリティです。
国境を超えて悪意を持って侵入してくるサイバー攻撃は、安全保障上の情報や最新技術などを盗み、悪用し、あるいはシステムに侵入して業務や運用を止めるなど、私たちの生活を基盤から揺るがす脅威となっています。
今回ご紹介するセキュリティエンジニアは、このようなサイバー攻撃から企業・組織の情報やシステムを保護するための仕組みを構築する、ITセキュリティのスペシャリストです。
この記事では、セキュリティエンジニアの仕事内容と将来性、年収や必要なスキルなどを詳しく解説します。これからセキュリティエンジニアを目指す人、セキュリティエンジニアとしてキャリアアップを考えている人は参考にしてください。
目次
セキュリティエンジニアとは?

セキュリティエンジニアとは、企業や組織におけるITセキュリティのスペシャリストです。サイバー攻撃の脅威から企業・組織を守る対策を考え、情報を奪われたり壊されることのないようにシステム設計や構築、運用・保守などを行います。
具体的には、ファイヤーウォールの導入、アンチウイルスソフトや侵入検知システム、侵入防止システムの導入、ログの収集・保存、ITシステムの脆弱性の修正など、さまざまな方法による多層防御によって、企業・組織の情報を保護・保全する役割を担っています。
セキュリティエンジニアの現状
IT技術が進化を続けるなか、世界中でサイバー攻撃が増加しています。近年特に増加しているのが、サプライチェーンの事業活動や地域の医療提供体制を狙ったランサムウェアによるサイバー攻撃です。
警視庁の公表によると、2022年の1年間で報告されたランサムウェアによる被害件数は230件にのぼり、前年比で57.5%も増加しました。感染したシステムのなかには、復旧まで2か月以上かかった事例、調査・復旧のため5,000万円以上もの費用を要した事例なども確認されており、その被害は甚大です。
参考:令和4年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について|警視庁
一方で、日本におけるセキュリティエンジニアの人材不足も深刻です。2022年のセキュリティ実態調査では、日本企業のうち「セキュリティ対策に従事する人材が不足している」と答えた割合は89.8%にものぼります。アメリカの9.7%、オーストラリアの10.8%と比較すると、日本でセキュリティ人材が圧倒的に不足している現状が浮き彫りになりました。
参考:NRIセキュア、日・米・豪の3か国で「企業における情報セキュリティ実態調査2022」を実施|NRIセキュアテクノロジーズ株式会社
このような状況下において、企業・組織におけるセキュリティ対策は急務であり、これらを専門とするセキュリティエンジニアの重要性は高まっています。セキュリティエンジニアとして高い能力を発揮できれば、高い評価や収入が期待できるでしょう。
セキュリティエンジニアの業務内容

ここで、セキュリティエンジニアの業務内容について詳しく見ていきましょう。
企画・提案
セキュリティエンジニアとして重要な業務の一つが、企業・組織内のインフラやITシステムのセキュリティ強化に関する企画や提案です。
現状や新規開発のシステムに対してセキュリティ診断を行い、脆弱性や将来的な不安要素などを洗い出します。さらに状況に応じて是正や強化などの具体的な提案を行い、社内・社外セキュリティ対策において過不足がないかを総合的に判断します。
設計・実装・テスト
提出した企画や提案が受け入れられた場合、実装を行うためのシステム設計を行います。
OSの種類やバージョン、ネットワーク機器、ファイアウォール、セグメンテーション、認証をはじめ、アンチウイルスソフトや防犯検知システムの導入、ログ収集・保存についてなど、セキュリティに関する対策をあらゆる側面から検討し、設計書へ落とし込む作業です。
設計が完了したら、設計書をもとにセキュリティ対策の実装とテストを行います。テストの際には、ハッカーによる実際の攻撃を想定したペネトレーションテストを実施し、システムの脆弱性がないかどうかを確認します。
保守・運用
セキュリティシステムが稼働した後は、保守・運用の作業が始まります。
1日の間に作られるサイバーウイルスは100万件ともいわれており、セキュリティシステムのローンチが済んだからといって安心はしていられません。企業・組織のシステムに新たな脅威となるものがないかを監視し、万が一サイバー攻撃の標的になった場合には、迅速に対応してシステムの復旧をはかる必要があります。
セキュリティエンジニアに必要なスキル

セキュリティエンジニアになるためには、どのようなスキルが必要なのかも見ておきましょう。
プログラミング知識
セキュリティエンジニアに必要なスキルの1つ目は、プログラミングに関する知識です。
本来セキュリティエンジニアの仕事にプログラミングは含まれませんが、サイバー攻撃者は悪意あるプログラムをシステム内に仕掛けることでセキュリティを侵害してきます。このため、サイバーセキュリティ対策を行うセキュリティエンジニアも、プログラミングに関する知識が必要になるのです。
ウイルス・不正アクセス等の知識
2つ目は、セキュリティエンジニアの業務の根幹ともいえるサイバーウイルスや不正アクセスなどに関する知識です。
世界中には数えきれないほどのウイルスが存在するため、すべてを把握することは不可能です。しかし、世界で現在どのようなウイルスによる被害が多いのか、どのような手口でシステムへ侵入してくるのか、どのような脆弱性を突かれるのかなどの詳細情報を把握し、いつか来るかもしれないサイバー攻撃に備えておかなければなりません。
このためセキュリティエンジニアは、ウイルスや不正アクセスに関する基本的な仕組みや構造などについて詳しく知っている必要があるのです。
OS・ネットワーク知識
OSやネットワークといったインフラに関する知識も、セキュリティエンジニアには必要です。
セキュリティエンジニアの仕事はITシステム全体に及ぶものであり、社内のどこでセキュリティの問題が発生しても適切に対処できなければなりません。このためネットワークエンジニアには、OSやネットワーク、ミドルウェア、Webアプリケーションに至るまで、幅広い知識が必要になるのです。
法律知識
セキュリティエンジニアには、法律に関する知識も必要です。
対象となる法律には、以下のようなものがあります。
- 個人情報の保護に関する法律
- サイバーセキュリティ基本法
- 不正アクセス行為の禁止等に関する法律
- 電子署名及び認証業務に関する法律
- プライバシーマーク制度
企業・組織のサイバーセキュリティ対策を行う際には、これらの法令を遵守する形で実現しなければなりません。現行の法令を正しく理解し、セキュリティ設計に組み込んでいくことが大切です。
セキュリティに関する法令やルールは時代や状況によって刻々と変化していくものなので、情報を常にアップデートしていく作業も必要になります。
セキュリティエンジニアの年収は?

「求人ボックス給料ナビ」の求人統計データによると、セキュリティエンジニア(正社員)の平均年収は597万円となっています。日本の平均年収と比較すると高い傾向です。
月給に換算すると約50万円となり、給与幅は352万円~1058万円、ボリュームゾーンは529~617万円となっています。年齢や企業規模によって平均年収が異なるほか、セキュリティエンジニアとしての経験や実績、難易度の高い資格などを持っている場合には、より高い年収が見込めます。
参考:セキュリティエンジニアの仕事の年収・時給・給料|求人ボックス給料ナビ
セキュリティエンジニアの将来性について

サイバーセキュリティリスクの増加と巧妙化を背景に、企業・組織の情報やシステムをサイバー攻撃から守るセキュリティエンジニアの重要性は高まっています。人工知能(AI)も導入されIT化が加速するなかで、セキュリティエンジニアはこの先さらに存在感を増していくことでしょう。
またセキュリティを専門的に扱う人材も不足しており、セキュリティエンジニアの需要は高い状況が続いています。
これらのことから、セキュリティエンジニアの将来性は非常に高いと言えるでしょう。
セキュリティエンジニアとしての市場価値や専門性をより高いものにしたいと考えるなら、業務内容に応じたセキュリティスキルを証明できる資格を取得することをおすすめします。専門性の高い資格を取得することによって、将来的なキャリアを描きやすくなります。
なお、セキュリティエンジニアにおすすめの資格として以下のようなものがあります。
- シスコ技術者認定
- CompTIA Security+
- 情報処理安全確保支援士
- 公認情報セキュリティマネージャー(CISM)
- 情報セキュリティマネジメント試験
- 情報セキュリティプロフェッショナル認定資格(CISSP)
セキュリティエンジニアはリモートワーク可能?

セキュリティエンジニアの仕事は、企業・組織内の情報システムに大きく依存しています。そのため、クライアントと直接やり取りをして作業を行う必要があり、「基本的に出社」という企業が多く存在します。
一方で、新型コロナ禍や働き方改革、DX推進を背景に企業でもクラウド化が進んでおり、セキュリティエンジニアがクラウドで作業を行う機会も増えました。このため、セキュリティエンジニアがリモートワークを行うことも可能となっています。
コミュニケーションが必要な場合にはチャットツールやオンライン会議を活用したり、必要に応じてハイブリッドワークを導入するなどによって、セキュリティエンジニアの働きやすいリモートワーク環境を実現できるでしょう。
セキュリティエンジニアのフリーランス案件について

大手フリーランス案件サイトを見てみると、セキュリティエンジニアの求人案件数は474件となっています(2023年9月時点)。
内容を見てみると、情報システムの管理・運用、システムメンテナンスをはじめ、クライアント向け障害対応、セキュリティ製品問い合わせ対応など幅広い求人がありました。
求められているスキルとしては、セキュリティエンジニアとしての経験のほか、ネットワーク運用・監視経験、クラウドサービスの設計・開発・運用経験、ネットワークポリシーの設計経験などがあります。
【まとめ】

情報セキュリティを担うセキュリティエンジニアは、IT技術が進歩を続ける現代におけるビジネスに欠かせない重要な職種です。セキュリティ分野のみならずエンジニアとしての幅広い知識を持ち、またさまざまな現場を経験して実績を積むことによって、より市場価値の高い人材としてのキャリアを築けます。セキュリティエンジニアのリモートワーク案件をお探しの方は、Remotersまでご相談ください。