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フリーランスのPM/PMO案件の単価や仕事内容は?元PMが解説
2023.4.10
新規システム開発などのプロジェクトを行う場合、必ずといってよいほど発足されるのがPM/PMOです。しかし、PM/PMOの定義はあいまいな場合も多く、役割や仕事内容について詳しくない方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、PM/PMOの役割や両者の違い、求められる知識や能力について、PM/PMO経験者の立場から解説します。
目次
PM/PMOとは?
PM(プロジェクトマネージャー)とPMO(プロジェクトマネジメントオフィス)は、どちらもプロジェクト管理を担う立場です。両者の主な違いは、PMがプロジェクト管理の責任者であるのに対し、PMOはPMの補佐的な立場である点です。
それぞれの役割や仕事内容について、以下で解説します。
PM≒プロジェクト責任者
PM(プロジェクトマネージャー)とは、プロジェクトの目的達成に向けて、プロジェクトにおけるさまざまな要素の管理や意思決定を行う責任者を指します。
プロジェクトでは、以下に挙げるような複数の要素があり、これらを適切に管理しながらプロジェクトを遂行することが重要です。
- 成果物の品質
- スケジュール、納期
- コスト
- リスク
- スコープ、要件
また、情報処理推進機構(IPA)が実施するプロジェクトマネージャー試験(PM)では、PMの役割を以下のように定義しています。
(1) 必要に応じて個別システム化構想・計画の策定を支援し、策定された個別システム化構想・計画に基づいて、プロジェクトの目的を実現するためにプロジェクト計画を作成し、当該プロジェクトの目標とライフサイクルを設定する。
引用元:情報処理推進機構(IPA)「プロジェクトマネージャー試験(PM)」
(2) 必要となるメンバーや資源を確保してプロジェクトチームを編成し、チームのメンバーとプロジェクトの目的を共有する。必要に応じてメンバーを支援して、メンバーの成長とチームの自律的なマネジメントに向けた継続的な改善を推進する。
(3) 問題に対して適切な対策・対応を実施するとともに、将来見込まれるリスクや不確かさに対して、メンバーの多様な考えを活用して早期に対応し、変化に適応することによって、プロジェクトの目的を実現する。
(4) プロジェクトのステークホルダと適切にコミュニケーションを取って、ステークホルダのニーズを満たすとともに、プロジェクトの目的の実現のためにステークホルダとの共創関係を構築し維持する。
(5) プロジェクトフェーズの区切り及び全体の終了時、又は必要に応じて適宜、プロジェクトの計画と実績を分析・評価し、プロジェクトのその後のマネジメントの改善に反映するとともに、ほかのプロジェクトの参考に資する。
上記より、PMの役割や仕事内容を端的に言うと以下のようになるでしょう。
- プロジェクト計画の作成
- プロジェクトチームの編成
- プロジェクトリスクへの対応
- プロジェクト関係者とのリレーション構築
- プロジェクトの状況把握(品質、進捗、コストなど)
PMO≒PMの補佐
PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)とは、直訳すると「プロジェクトを管理する組織や事務局」を意味します。
基本的には、プロジェクトマネジメントはPMの役割です。しかし、大規模なプロジェクトや複雑性の高いプロジェクトの場合、PMだけでは管理が困難です。そこで、PMを補佐する立場として、PMに付随する形でPMOが発足されます。
一般社団法人日本PMO協会によると、PMOの役割は以下のように定義されています。
1.プロジェクトマネジメント方式の標準化
引用元:一般社団法人 日本PMO協会「PMOとは?」
2.プロジェクトマネジメントに関する研修など人材開発
3.プロジェクトマネジメント業務の支援
4.プロジェクト間のリソースやコストの各種調整
5.個別企業に適応したプロジェクト環境の整備
6.その他付随するプロジェクト関連管理業務
上記より、PMOの主な役割や仕事内容は、PMの補佐としての各種管理(品質、納期、コストなど)や各種調整(会議体、報告様式など)だといえるでしょう。
PM/PMOに求められる知識や能力
続いて、PM/PMOに求められる知識や能力をそれぞれ解説します。
PMに求められる知識や能力
PMに求められる知識や能力は多岐にわたりますが、ここでは特に重要なものを3つ解説します。
1.プロジェクトリスクの早期検知および合理的な意思決定
プロジェクトの責任者であるPMとして求められることは、最終的にはプロジェクトの成功に導くことです。そのためには、プロジェクトの成功を阻害する要因、つまりリスクへの適切な対応が欠かせません。
代表的なリスクとしては、以下が考えられます。
- 成果物の品質が不十分で、顧客への納品時に問題が生じるリスク
- スケジュール遅延が続き、納期に間に合わないリスク
- 工数の見積もりが不十分なことでコストが超過し、採算が取れなくなるリスク
リスクを完全になくすことはできませんが、考え得るリスクをプロジェクト関係者で洗い出しておくことで、事前にある程度の対策は可能です。洗い出したリスクを重要度や発生確率などの軸で評価して、適切な対応策を用意しておきましょう。
2.幹部層や現場キーマンとのリレーションを構築
PMとして大事なことの1つに、プロジェクト関係者とのリレーション構築があります。システム開発プロジェクトの場合、最終成果物はシステムではあるものの、そのシステムを納品するまでに活動するのは「人」です。
プロジェクトの成功を請け負うPMは、プロジェクトを進めるうえで必須のピースである「人」と良好な関係を築かなければなりません。特に、プロジェクト予算などの決定権を持つ幹部層や、業務仕様を熟知している現場キーマンとのリレーション構築は重要なミッションとなるでしょう。
3.全体最適の視点
全体最適の視点もPMに求められることの1つです。プロジェクトは品質や納期、コストなどのさまざまな要素が絡み合って進んでいきます。そして、それらの要素はトレードオフの関係になっていることが多いです。
たとえば、品質向上のために全プログラムを再テストすることは有効ですが、一方でコスト増大や納期遅延を招く懸念が生じます。コストや納期とのバランスを取るためには、新規開発したプログラムのみを再テスト対象とすることも1つの判断となるでしょう。
最終的なプロジェクトの成功を見据えて、全体最適の視点で合理的な判断を行うこともPMには求められます。
PMOに求められる知識や能力
PMOに求められる知識や能力に関して、特に重要なものを3つ解説します。
1.抜け漏れなくコミュニケーションを取るための様式作り
プロジェクトの成功を請け負うPMの補佐として、PMOはプロジェクトを成功に導く「潤滑油」のような立ち回りが求められます。具体的には、プロジェクト関係者間のコミュニケーションの円滑化・活性化です。
プロジェクト関係者同士が適切にコミュニケーションを取るためには、抜け漏れなくコミュニケーションを図るための様式作りが大切です。
たとえば、週次進捗の報告フォーマットを作成する際は、「いつ」「誰が」「誰に対して」「どのように」などの各観点を明確に記載できるようにしましょう。
特にリモートワークが増えている昨今では、着実にコミュニケーションを図るためのドキュメント・様式作りが重要です。
2.プロジェクト関係者同士が意思疎通を図りやすくするためのルールや風土作り
ドキュメント・様式作りと同様、プロジェクト関係者同士が意思疎通しやすいためのルールや風土作りも大切です。積極的にファシリテーションをする姿勢が求められるでしょう。
たとえば、プロジェクトについて質問をするためのチャットスペースを設け、疑問を各担当者内に留めておかないようにする施策などは効果的です。チャットスペースを作っただけでは活用されにくいため、最初のほうはPMOが自ら質問を投げかけてみるのもよいでしょう。
PMOは業務担当者や開発担当者間の橋渡し役となることも多いため、きめ細かなコミュニケーションが求められます。
3.品質状況や進捗状況のこまめな把握とタイムリーな状況共有
品質管理や進捗管理はPMの仕事でもありますが、PMは幹部層との合意形成など上位レイヤーの業務に工数を割かれている場合も少なくありません。
そのため、各機能やモジュールの詳細な品質状況や進捗状況は、PMOが適切に把握してPMに共有することが求められます。
プロジェクトのリスクを早期に検知し、PMが適切な意思決定を行えるようにするために、現場の詳細な活動状況をタイムリーに把握・共有していきましょう。
フリーランスのPM/PMO案件はある?
PM/PMOと聞くとコンサル会社やIT会社の社員を連想しがちですが、フリーランスでもPM/PMO案件はあります。
たとえば、Remotersでは19件のPM/PMO案件を掲載しています(2022年12月時点)。
PM/PMO案件の例としては以下のとおりです。
- ECパッケージ導入のPM業務
- 総合商社の業務システムの運用保守に関するPM
- クラウドファンディングサービス開発のPM
さまざまな業界や業種、開発工程にてPM/PMO案件がありますので、フリーランスPM/PMOに興味のある方は案件内容を確認してみてください。
単価感について
フリーランスPM/PMOの単価は、他のエンジニアと同様、案件によって大きく異なります。
たとえば、先ほどのRemotersの募集案件(2022年12月時点)では、単価は30万円~110万円が相場となっています。
経験やスキル次第では単価100万円以上も狙えるため、高収入も目指せる職種だといえるでしょう。
PM/PMOはリモートワーク可能?
PM/PMOでもリモートワークは可能です。PM/PMO業務の多くはドキュメント作成やプロジェクト会議の開催・調整であり、どちらもリモートワークで対応できます。
リモートワークの場合、会議はZoomやTeamsなどのWeb会議にて行うことが一般的です。ドキュメント作成は、通常出社/リモートワークに関わらずエクセルやパワーポイントなどのツールを使って行う場合が多いです。
ただし、プロジェクトキックオフ会議や業務フローの集中検討時などは、集合形式を取ったほうが良いケースもあります。その際は、まれにオフィス出社する場合もあります。
リモートワークの有無や実施頻度は案件によっても異なるため、詳細は各案件内容を確認するようにしてください。
元PM/PMOとしての経験談
ここで、元PM/PMOとしての経験談を1つ紹介します。
PM/PMOは付加価値の創出が難しい立場です。プロジェクト管理を行う職種ですが、ともすると進捗管理などを行うだけの事務方になってしまいます。それだと業務の現場担当者や開発担当者からの信頼は得られません。
メーカーの情報システム部門の社員として大規模なEC構築プロジェクトのPMOを担当した際、EC業務の全容がわからないなかでプロジェクト推進を担いました。これまでのPM/PMO経験を頼りに品質管理や進捗管理のフォーマット作成を行い、業務現場の担当者に共有しました。
ところが、作成したフォーマットは全くといって良いほど使われませんでした。紋切り型のフォーマットは一見するとキレイに見えますが、EC業務の現場をちゃんと汲み取れていなかったのです。
プロジェクトを円滑に進めるうえでフォーマット類の整備は重要ですが、業務現場を把握することも欠かせません。それからはEC業務を理解するために、以下の各EC担当に業務を聞きに回りました。
- 商品担当
- 物流担当
- カスタマーサポート担当
- ECサイト担当など
各担当の業務内容を理解したうえで、各担当の業務詳細や課題のポイントなどをフォーマットに反映しました。その結果、業務現場がフォーマットを利用するようになり、プロジェクト内の状況共有が円滑に進むようになったのです。
上記の体験から、PM/PMOとして重要なのは「人を動かす能力」だと感じました。人を動かすためには、各プロジェクト関係者からの信頼を得ることが大切です。そして、信頼を得るためには、ただの管理者になるのではなく、業務現場や開発現場に足を運んで同じ目線に立つことが重要となります。
一方で、業務現場や開発現場に入り込みすぎては、PM/PMOではなく現場担当者の1人になってしまいます。地に足をつけてプロジェクトを進められる程度に業務現場・開発現場を理解しつつも、あくまでPM/PMOの立場で品質や納期、コスト、リスクを俯瞰する必要があるのです。
PM/PMOの付加価値創出が難しいと冒頭で語ったのはそのためです。業務とITをつなぐ中間的な立場であるため、具体的なアウトプットを出しにくいのがPM/PMOだといえます。
PM/PMOとして活躍するためには、現場と人を理解し、全体最適の視点でプロジェクトの成功を考え続けることが重要となるでしょう。
企業目線でのPM/PMO参画メリット
PM/PMOは、社内メンバーだけでは担当しきれないことも多く、外部のコンサル会社やフリーランスからPM/PMO人材を招集するケースもあります。本章では、企業目線でPM/PMO外部人材を参画させるメリットを解説します。
社内のリソース不足を補える
社内の各部署の社員は、定常的に現場業務を抱えていてリソースに余裕がないことも少なくありません。そのなかで社内プロジェクトを立ち上げる場合、社員が現場業務とPM/PMO業務を掛け持ちすることとなり、十分なプロジェクト推進がしにくい状況となりがちです。
外部からPM/PMOが参画することで、PM/PMO業務に専任のプロをアサインでき、きめ細かなプロジェクト推進を行えるようになります。
PM/PMOのノウハウを社内に蓄積できる
PM/PMOに特化した人材を社内に豊富に抱えている事業会社は多くありません。そのため、外部のコンサル会社やフリーランスなどからプロのPM/PMOを招集したほうがスムーズにプロジェクト推進を行えるケースも多いです。
プロのPM/PMOが作成した成果物や会議のファシリテート方法などに実際に触れることで、PM/PMOのノウハウを社内に蓄積できます。
その結果、次回以降に同様のプロジェクトを行う際は、社内のメンバーだけでも回せる部分が増えていくでしょう。
社内の人間関係に左右されずに客観的なプロジェクト推進が見込める
企業の実情として、各部署間の縦割り構造や対立構造がある場合が多く、社内でプロジェクトを進めようと思っても円滑に進まない可能性があります。
プロジェクトの意義自体には全員が合意しつつも、社内の人間関係に左右されて実行まで落とし込まれず時間だけが過ぎてしまうこともあるのです。
上記の問題に対し、外部からPM/PMOが参画することで、社内の人間関係に左右されずに客観的なプロジェクト推進が見込めます。しがらみのない立場から公平な目線で言うべきことをはっきりと言うことで、プロジェクトを推し進める原動力になるでしょう。
【まとめ】フリーランスのPM/PMO案件ならRemoters
PM/PMOは、どちらもプロジェクトの成功に向けてプロジェクトの管理を行う職種です。両者の主な違いは、PMがプロジェクト成功を請け負う責任者であるのに対し、PMOはPMの補佐的な立場でプロジェクト推進を行う点です。
PM/PMOとして活躍するためには、全体最適の視点を持ち、プロジェクトの品質や進捗、リスクなどの各要素を俯瞰して合理的な判断を行うことが重要となるでしょう。そして、プロジェクトを円滑に進めるうえでは、現場業務を十分に理解し、プロジェクト関係者とリレーションを構築していくことが不可欠です。
PM/PMOはフリーランスの立場でも活躍できます。社外の立場だからこそ、公平かつ客観的な目線でプロジェクト推進ができるのがフリーランスPM/PMOのメリットだといえます。
Remotersは、テレワーク/リモートワークの働き方を支援するエージェントサービスです。Remotersでは、フリーランス・正社員向けの「フルリモート案件のみ」をご紹介しています。自由な働き方を求める方やフリーランスPM/PMOとしてスキルアップしていきたい方は、是非ご相談ください