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フリーランスと業務委託の違いを理解【契約書や注意点まで解説】
2023.8.21
フリーランスと業務委託は混同しやすい言葉ですが、両者には明確な違いがあります。これからフリーランスを目指す方のなかには、「フリーランスと業務委託の違いやフリーランスとして仕事を契約する際のポイントなどを知りたい」という方もいるのではないでしょうか。
本記事では、フリーランスと業務委託の違い、フリーランスが業務委託契約する際のポイント・注意点、契約書の準備・書き方などを解説します。
フリーランスと業務委託の違いについて
はじめに、フリーランスと業務委託の違いについて解説していきます。
フリーランスとは
フリーランスとは、特定の企業や組織に所属せず、個人として仕事を行う働き方や働く人を指します。フリーランスは、会社員のように特定の1社と雇用契約を結んでいないため、複数の企業から案件を受注して働くことが一般的です。
おもなフリーランスの例としては、プログラマーやWebデザイナー、Webライターなどが挙げられます。時間や場所の自由度が高いため、主婦などにも人気の働き方です。
また、フリーランスには年齢制約がないため、定年後のセカンドキャリアとしても注目されています。
業務委託契約とは
業務委託契約とは、案件を受注する際に結ぶ契約方法のことです。つまり、フリーランスは「働き方や働く人」を指すのに対し、業務委託方法は「契約方法」を指す点で違いがあります。
業務委託契約では、契約期間や報酬体系、連絡方法など、業務を進めるうえで必要な事項をまとめて記載します。また、機密情報の保持や著作権の譲渡といった重要事項についても定めます。
フリーランスが企業などのクライアントから案件を受注する際は、クライアントとの間で業務委託契約を締結し、仕事を開始することが一般的な流れです。
フリーランスの業務委託契約時のポイント
フリーランスが業務委託契約する際は、注意すべき点も存在します。ここでは、業務委託契約の注意点やメリット、デメリットを解説します。
業務委託契約時の注意点
フリーランスが業務委託契約を結ぶ際は、おもに以下の観点に注意することが必要です。
・仕事の内容・範囲
・スケジュール・納期
・報酬体系
・契約期間など
まず、仕事の内容・範囲を確認し、クライアントとの間で認識相違がないかをしっかりと確認しましょう。また、スケジュールや納期が現実的に対応可能であるかにも注意すべきです。
報酬体系については、自分自身が納得できる水準であるかを見ていきましょう。加えて、契約期間も確認し、今後の業務計画を立てることも大切です。
業務委託契約のメリット
業務委託契約のメリットとしては、おもに以下の点が挙げられます。
・自分で仕事内容や仕事量を選べる
・働く場所や時間の自由度が高い
・自分自身のスキルを活かして高収入を狙える
メリット1:自分で仕事内容や仕事量を選べる
業務委託契約では、あらかじめ自分で仕事内容や仕事量を選べる点がメリットです。自分に合わないと思った仕事は、無理して契約する必要はありません。
会社員の雇用契約とは違って、仕事内容や仕事量を自分の裁量で決定できるため、業務委託契約はワークライフバランスを取りやすいといえます。
メリット2:働く場所や時間の自由度が高い
業務委託契約では、働く場所や時間までは指定されていないケースがほとんどです。そのため、納期さえ守れば、「いつ」「どこで」働こうともフリーランスの自由です。
家事との両立をしたい主婦や柔軟な働き方を望む方にとっては、魅力的な働き方だといえるでしょう。
メリット3:自分自身のスキルを活かして高収入を狙える
自分にスキルがあれば高収入を目指せる点も業務委託契約のメリットです。高いスキルを持つエンジニアやクリエイターであれば、高単価での案件獲得も可能です。
フリーランスとして独立することで、会社員時代の給料を大幅に上回るケースもあるでしょう。
業務委託契約のデメリット
一方で、業務委託契約には以下のようなデメリットも考えられます。
・収入の変動が大きくなりがち
・確定申告や帳簿づけ、税金・保険料の支払いを自分で行う必要がある
デメリット1:収入の変動が大きくなりがち
フリーランスの業務委託契約では、毎月の収入変動が大きくなりがちな点がデメリットです。フリーランスは期間によって仕事量のばらつきがあるため、収入も増減します。
会社員のように毎月安定して給料が振り込まれるわけではないため、自分自身で生活の見通しをしっかりと立てることが必要です。
デメリット2:確定申告や帳簿づけ、税金・保険料の支払いを自分で行う必要がある
フリーランスが業務委託契約で仕事を行う場合は、自分自身で確定申告や帳簿づけ、税金・保険料の支払いを行うことが求められます。
各種手続き・支払いのスケジュールを確認し、前もって準備を進めていく計画性が大切です。
契約の種類について
フリーランスがクライアントと結ぶ業務委託契約には、おもに以下の2種類があります。
・請負契約
・委任契約(準委任契約)
本章では、上記2種類の特徴について解説します。
請負契約
請負契約とは、委託された業務に対して、成果物の完成までを約束する契約のことです。決められた納期までに指定の成果物を制作・納品し、クライアントが検収した後、報酬を受け取ります。
請負契約は、おもに以下のような業務に対して用いられます。
・ソフトウェア開発
・ホームページ制作
・Web記事制作など
委任契約(準委任契約)
委任契約とは、成果物の完成責任は負わずに、指定期間のなかで決められた業務を遂行する契約のことです。具体的な成果物の制作・納品ではなく、費やした時間や業務量に対して報酬が支払われるのが特徴です。
たとえば、委任契約は以下のような業務に対して適用されます。
・弁護士や会計士などの専門的な業務支援・サポート
・英会話講師やプログラミング講師などの講師業
・システムの保守・運用サポートなど
なお、委任契約と準委任契約の違いは、法律行為に関わる業務委託であるかどうかです。委任契約は法律行為に関わる業務委託であり、たとえば弁護士が法律に基づいて書類作成を行う場合などは委任契約となります。
一方の準委任契約は、法律行為にあたらないさまざまな業務が該当し、たとえばセミナー講師やコンサルタント、システム運用代行などが挙げられます。
フリーランスとして契約するならどちらがいい?
前述のとおり業務委託契約は請負契約と委任契約(準委任契約)に大別できますが、フリーランスはどちらの契約がよいのでしょうか。
結論としては、請負契約と委任契約(準委任契約)にはそれぞれ異なる特徴があるため、どちらがおすすめとは一概には言えません。自分自身の仕事の特性に応じて、適切な契約方法を選択することが重要です。
具体的には、「成果物を完成させる仕事であるか?」に着目するとよいでしょう。たとえば、指定されたソフトウェア開発を行うプログラマーであれば、請負契約になります。
一方で、プログラミング講師として定期的に講義を行うフリーランスであれば、準委任契約となります。
契約書の準備・書き方は?
これからフリーランスを目指す方やフリーランスになって間もない方は、契約書の準備の仕方や書き方がわからない場合もあるでしょう。ここでは、契約書の準備・書き方におけるポイントを解説していきます。
クライアントが用意することも
そもそも、契約書はフリーランスが必ず用意しなければならないものではありません。クライアント側がフォーマットを準備しているケースもあるため、その場合はクライアントのフォーマットに従いましょう。
新規で業務委託契約を締結することになった際は、まずはクライアントにフォーマットがあるか確認してみることをおすすめします。
契約書を準備する際のポイント
クライアント側で契約書のフォーマットがない場合は、フリーランス自身で契約書を準備することになります。
契約書を0から作成することは大きな手間と時間がかかるため、まずはインターネット上などで公開されている契約書のひな型を参考にすると効率的です。
そのうえで、ひな型の内容をすべて鵜吞みにしないことがポイントです。フリーランスの業務内容は人によって異なるため、ひな型をベースに自分自身に合った内容にカスタマイズしていくようにしましょう。
書き方のポイント
契約書は、クライアントとフリーランスの双方で共通の認識を持って仕事を進めるうえで重要な役割を持ちます。そのため、契約書を作成する際は、あとで認識相違が生じないようにわかりやすい表現で明確に記載することがポイントです。
たとえば、以下の観点に注意しながら作成していくとよいでしょう。
・「これ」「あれ」などの指示語を避け、省略せずに記載する
・第三者が見てもわかりやすい言葉を用いる
・発注側・受注側の双方の権利や義務、責任範囲について明確に記載する
・定量的に記載できる部分は、なるべく数値を用いて具体的に記載する
・ひな形をあらためて確認し、観点の抜け漏れがないかを確認する
契約書を作成したら、クライアントにも共有し、双方で内容に問題がないかを確認します。必要な場合は、双方の合意に基づいて記載内容の変更・調整を行いましょう。
【まとめ】
フリーランスと業務委託の違いは、ひと言でいえば「働く人や働き方」を指すか「契約方法」を指すかの違いです。
フリーランスは、特定の企業や組織に所属せず、個人で働く人や働き方を指します。業務委託契約は、フリーランスがクライアントと契約を締結する際の契約方法であり、業務委託の内容や納期、報酬体系などを記載します。
フリーランスが業務委託で仕事をするメリットは、自分で仕事内容や仕事量、働く場所・時間を選べることです。専門的なスキルを深めることで、高収入も狙えるでしょう。一方、収入が不安定になりがちな点や税金面の手続きなどを自分で行う必要がある点はデメリットです。
業務委託契約を締結する際は、クライアントとの間で認識相違が生じないよう、業務内容やスケジュール、納期、報酬などについて契約書に明記することが大切です。契約書を作成する際は、なるべくわかりやすい表現で明確に記載するようにしましょう。