ITスキル
データサイエンティストのおすすめ資格9選|年収や将来性も解説
2023.8.22
IT技術や科学技術が発展し、デジタルトランスフォーメーション(DX)による社会構造の大転換が進むなか、とりわけ注目を集めているのが人工知能(AI)です。少子高齢化や人口減少といった深刻な問題が顕在化する世の中にあって、AIは人材不足を補いつつ生産性を高める手段として重要な意義を持っており、今後も飛躍的に発展していくと予想されています。
近年話題になっているAIは、機械学習、特に深層学習(ディープラーニング)に基づいているものが中心となっており、学習の精度を高めるためには膨大なデータ、いわゆるビッグデータが必要になります。この膨大なデータを処理・分析し、適切な利活用へつなげる分野こそ、今回ご紹介するデータサイエンスです。データサイエンスを専門に扱う職種がデータサイエンティストであり、AI時代を担う将来性の高い職種としていま人気が高まっています。
この記事では、今注目のデータサイエンティストを目指す人におすすめの資格を厳選してご紹介します。データサイエンティストの仕事内容や年収、将来性についても解説していますので、参考にしてください。
目次
データサイエンティストとは?
データサイエンティストとは、企業や組織の意思決定や課題解決、戦略の立案を促す目的で、デジタルデータを収集・管理・解析する職種です。デジタルデータの中には、ビッグデータや企業の業務データ、SNSやWeb上のデータなど、幅広いものが含まれます。膨大なデータを分析するためにはプログラミング能力のほか、情報を正しく効率的に収集・処理できる能力、統計解析によってデータを分かりやすく整理できる能力など、幅広いスキルが求められます。
政府はAI・データサイエンス人材の育成を国の緊急的課題と位置付けており、その重要性はAI戦略2022において明確に定義されています。AIが私たちの生活に溶け込みつつある昨今、データサイエンスを専門的に扱えるデータサイエンティストの存在感はさらに増していくことでしょう。
仕事内容
データサイエンティストの仕事には、要件定義からデータの収集・蓄積、データ解析、提案など、さまざまな内容が含まれています。
要件定義、仮説の立案
要件定義は、企業や組織としてどのような課題・問題を抱えており、改善に向けて具体的にどのようなデータを収集すべきかを明確に定義する重要な作業です。ヒアリングによって課題を洗い出し、企業や組織がこれから進むべき方向性(KPIやKGI)を明らかにする作業でもあります。
潜在的な課題というものは、内部の人間には気づきにくいものです。データサイエンティストが丁寧なヒアリングによって客観的に現状を整理することで、考えが及ばなかった部分まで広く状況を把握でき、次のフェーズへとつなげていけるのです。
要件定義で洗い出した課題をもとに、考えうるパターンや要因を洗い出していきます。洗い出す過程で必要に応じて仮説を立案し、求めている調査結果が的確に得られるよう準備します。
データの収集・変換・蓄積
要件定義に基づき、意思決定や課題解決を促すに足る量や種類のデータを収集します。収集したデータは扱いやすいよう適切な形式に変換したうえで、あらかじめ構築しておいたデータベース環境へ蓄積していきます。
蓄積されたデータを実際に利活用する場面では、なによりスピードと正確さが求められます。そのため、データベース格納時に適切な形式へデータ変換を行ったり、必要に応じて分類や集計を行っておくことで、効率的で負荷の少ないデータ抽出・参照が可能になるのです。
データ解析、検証、提案
データベースへ蓄積したデータをもとに、解析を行ってレポートを作成します。解析結果に応じて、課題解決アプローチに向けた提案や提言を行うこともあります。
必要に応じて統計学や情報工学の知識も用いながら進め、最終的にデータから読み取れる情報をクライアントに向けて分かりやすく可視化します。
年収レンジ
厚生労働省が提供している「職業情報提供サイト(日本版O-NET)」によると、データサイエンティストの年収は557.5万円となっています(2023年8月現在)。
国税庁の民間給与実態統計調査によると、2021年の日本の平均年収は443万円となっており、データサイエンティストの年収がかなり高いことが分かります。
参考:令和3年分 民間給与実態統計調査|国税庁
将来性
データサイエンティストは、デジタルやAI分野をリードする存在として注目度が高く、将来性は高いと言えます。
アメリカでソーシャル求人情報サービスを提供しているGlassdoorが公表した最新の職業ランキングによると、データサイエンティストは3位に位置しており、年収の中央値、満足度、求人数ともに高い数値を示しました。
参考:50 Best Jobs in America for 2022|Glassdoor
このように日本だけでなく世界中で需要の高いデータサイエンティストになれば、年収が高く条件のいい案件を幅広く発見できるでしょう。
データサイエンティストになるための必要スキル
データサイエンティストになるためには、どのようなスキルが必要なのかを見ていきましょう。具体的には、プログラミングに関する知識、データ分析、データベースと統計学に関する知識が必要です。
プログラミング知識
データサイエンティストは、膨大なデータを処理するために、さまざまな手法を使用してデータ解析を行う職種です。そして、効率的にデータ解析を行うためには、プログラミングの知識が必要になります。
AIや機械学習に必須とされているプログラミング言語がPythonです。Pythonは1991年にグイド・ヴァンロッサム氏によって開発されたオープンソースのプログラミング言語で、ビッグデータ解析やAI開発のほか、Webアプリケーションやデスクトップアプリ、組込み開発など幅広く利用されています。
データサイエンティストに必要なプログラミング言語として、R言語もあります。R言語は統計解析に特化したオープンソース言語であり、コードの記述方法が簡単なので習得しやすく、プログラミング初心者におすすめです。
データ分析知識
データサイエンティストは、収集したデータを必要に応じて分類し、法則性を導き出すことによって数字に意味を持たせ、企業や組織のリアルな「今」を見える化します。そのため、膨大なデータを適切に処理し、課題解決や戦略の立案に向けて状況を正しく分析できるための知識が必要です。
具体的には、プログラミングの知識はもちろん、統計学や情報工学、数学、コンピューターサイエンスなどが必要になります。
データベース知識
必要なデータの収集を行った後は、データを適切に形式変換したり、分類・集計などの加工を施してデータベースへ格納します。そのためデータサイエンティストには、データベースを設計したり、管理・運用するための知識も必要です。
データベースの設計が適切に行われていなければ、サーバーなどに負荷が生じて統計のパフォーマンスが落ちる可能性があります。また、データを適切な形に加工せずデータベースへ格納してしまうと、分析の際のデータ抽出パフォーマンスが低下し、作業が非効率になる恐れがあります。
このような事態にならないよう、データサイエンティストはデータベースを使いやすいよう設計し、利用者に最適の状態になるよう管理・運用する必要があるのです。
統計学
膨大なデータを効率的に処理するため、データサイエンティストには統計学の知識も必要です。
統計学は、何らかの調査によって得られたデータをもとに、規則性や不規則性、関連性を明らかにしたり、未来を予測する学問を言います。データのばらつきや重なり、分布などから読み取れる事象を、数値やグラフなどによって分かりやすく示すものです。
データサイエンティストを目指すためのおすすめ資格9選
もしデータサイエンティストを目指すなら、学習を兼ねて資格を取得するのがおすすめです。ここでは、データサイエンティストを目指す人におすすめの資格を厳選して9つご紹介します。
基本情報処理技術者試験
おすすめの資格の1つめは、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の実施する「基本情報処理技術者試験」です。
ITエンジニアを目指す人が初期で目指す基礎的な資格ですが、AIやビッグデータなど最新技術も含めた幅広い出題があるため、データに関する基礎を習得できます。
参考:基本情報技術者試験|独立行政法人情報処理推進機構(IPA)
データベーススペシャリスト試験
2つめのおすすめの資格は、基本情報処理技術者試験と同じくIPAが実施する「データベーススペシャリスト試験」です。
データサイエンティストの業務にはデータベースの知識が必要になるため、この資格を習得することでデータベースの環境設計や構築、開発、管理・運用などについての知識を学べます。
この資格はITSS(ITスキル標準)の規定でスキルレベル4となっており、基本情報処理技術者試験に比べると難易度の高いものになっています。合格にはかなりの学習時間や実務経験が必要になりますが、取得すると高い評価を得られるでしょう。
参考:データベーススペシャリスト試験|独立行政法人情報処理推進機構(IPA)
データサイエンティスト検定(DS検定)
おすすめの資格の3つ目は、一般社団法人データサインエンティスト協会が実施している「データサイエンティスト検定」です。
2021年から実施されている比較的新しい検定試験で、データサイエンス初心者向けに実施されています。この資格を取得することで、データサイエンティストに必要とされる「データサイエンス力」「データエンジニアリング力」「ビジネス力」の実務能力や知識を証明できます。
参考:DS検定とは|一般社団法人データサインエンティスト協会
統計検定
次におすすめしたい資格は、「統計検定」です。データサイエンティストには統計学の知識が必要になるため、統計検定を取得できれば高く評価されるでしょう。
統計検定は、一般社団法人日本統計学会が認定し、一般財団法人統計質保証推進協会が実施している全国統一試験であり、統計学に関する知識や活用力が評価されます。試験はレベルや難易度によって以下に分かれています。
- 1級
- 準1級
- 2級
- 3級
- 4級
- 統計調査士
- 専門統計調査士
- データサイエンス基礎
- データサイエンス発展
- データサイエンスエキスパート
参考:統計検定とは|統計検定
OSS-DB技術者認定試験
次のおすすめ資格は、特定非営利活動法人エルピーアイジャパンによって認定される「OSS-DB技術者認定試験」です。データベースの中でもオープンソースデータベースに関する知識とスキルが認定されるもので、主にPostgreSQLを中心とした出題になっています。
OSS-DB技術者認定試験の種類は以下の2段階に分かれています。
- Silver
- Gold
SilverではPostgreSQLを利用したリレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)の基礎的知識について問われます。また、GoldはSilverよりさらに深い応用的知識が出題されます。なお、Goldの取得にはSilverの合格が必須となっています。
統計士・データ解析士
おすすめの資格の6つ目は、「統計士」「データ解析士」です。これまでご紹介してきた認定資格とは異なり、内閣府移行認可一般財団法人実務教育研究所による通信教育として実施され、修了することで統計士、データ解析士として資格が認定されます。
「統計」と聞くとどうしても難しい印象を受けますが、本講座は「数学が苦手でも大丈夫」というのが大きな特徴となっており、図表を多用し、数理的説明は極力減らす工夫がなされています。
参考:現代統計実務講座|内閣府移行認可一般財団法人実務教育研究所
ORACLE MASTER(オラクルマスター)
次のおすすめ資格は、データベースの代表格であるOracleの管理スキルを証明する「ORACLE MASTER」です。日本オラクル社が公式に認定する資格であり、データベースの管理・運用はもちろん、データベース操作を行う言語であるSQLの習熟度についても問われます。
ORACLE MASTERには、レベルや難易度に応じて以下の種類があります。
- ORACLE MASTER Bronze DBA
- ORACLE MASTER Silver DBA/SQL
- ORACLE MASTER Gold DBA
- ORACLE MASTER Platinum DBA
業務システムなどのデータベースとしてOracleを採用している現場は多く、ORACLE MASTERを取得しておけば、データサイエンティストとして高い評価を得られるでしょう。
参考:ORACLE MASTER Portal|Oracle University
G検定・E資格
次におすすめしたい資格が、一般社団法人日本ディープラーニング協会が認定する「G検定」「E資格」です。AIの機械学習として利用されているディープラーニングの知識を有していることが証明されます。
G検定では、AIのさまざまな技術的な手法やビジネス活用の基礎知識が問われます。また、E資格ではディープラーニングに関する適切な手法を選択して実装する能力や知識が問われます。
ディープラーニングはAIを取り扱ううえで欠かせない知識であり、これらを取得することによって、データサイエンティストとしての市場価値を高められるでしょう。
参考:資格試験について|一般社団法人日本ディープラーニング協会
Python3エンジニア認定データ分析試験
最後のおすすめ資格は、「Python3エンジニア認定データ分析試験」です。データサイエンティストとして必要なプログラミング言語Pythonに関する認定資格であり、一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会が実施・認定しています。
Pythonに関する基礎、数学の基礎とともにライブラリを利用した分析実践について問われる内容になっており、比較的難易度が低いため初心者向けの資格と言えるでしょう。
参考:データ分析試験|一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会
データサイエンティストはリモートワークしやすい?
最後に、データサイエンティストはリモートワークしやすいかどうかを見ていきましょう。
結論から先に言えば、データサイエンティストはリモートワークしやすい職種であると言えます。なぜなら、データサイエンティストの扱うデータはビッグデータをはじめとするデジタルデータであり、データ解析やプログラミングなどのスキルとネットワーク環境さえあれば、場所を選ばずに働けるからです。
要件定義やヒアリング、戦略立案などに際しては打ち合わせなどの場が必要になりますが、チャットツールやオンライン会議サービスなどを活用することで問題なく働けるでしょう。
【まとめ】データサイエンティスト案件ならRemoters
AI時代を担う仕事として人気のデータサイエンティストは、デジタルデータを扱うためリモートワークしやすい職種です。これからデータサイエンティストを目指す人は、資格取得などを通じて知識や技術を磨いていきましょう。データサイエンティストに関するリモートワーク案件をお探しなら、Remotersまでご相談ください。