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モバイルアプリエンジニアとは?必要なスキルや年収など元エンジニアが解説
2023.4.10
モバイルアプリエンジニアとは、スマートフォンやタブレットなどで利用するアプリケーションの開発・運用を行うエンジニアです。モバイルアプリエンジニアを目指す方は、業務内容や必要スキル、年収などが気になるのではないでしょうか。
本記事では、モバイルアプリエンジニアの業務内容や向いている人、必要スキル、平均年収などについて解説します。
目次
モバイルアプリエンジニアとは?
モバイルアプリエンジニアとは、スマートフォンやタブレット端末などでユーザーが利用するアプリケーションの開発や運用を担うエンジニアです。
モバイルアプリは、大きくiOS版とAndroid版に分けることができ、前者はApple Store、後者はGoogle Playストアで公開されます。
モバイルアプリエンジニアが扱うプログラミング言語は、iOSではObjective-CやSwift、AndroidではJava、Kotlin、C#などが一般的です。
Webエンジニアとの違い
モバイルアプリエンジニアとWebエンジニアの主な違いとしては、まず業務範囲の違いが挙げられます。モバイルアプリエンジニアはモバイルアプリ開発に特化しているのに対し、WebエンジニアはWebサイトのデザイン設計やWebサイト管理といったアプリケーション以外も業務範囲内です。
また、開発言語も異なります。たとえば、iOSアプリの開発に用いられるSwiftは、macOSやLinux、Windowsにも利用はできるものの、メインはiOSアプリの開発に使用されています。
他には、テスト工程の実機テストにも違いがあります。Webエンジニアのテストでは、モバイル端末の動作検証は代表的な数パターンに絞って実施されるのが一般的です。一方、モバイルアプリエンジニアの場合は、さまざまな画面サイズやバージョンのモバイル端末を使って、動作に問題がないかを確認します。
モバイルアプリエンジニアに向いている人
それでは、どのような人がモバイルアプリエンジニアに向いているのでしょうか。向いている人の主な特徴について、以下の2点を解説します。
- UI・UXを考えることが好きな人
- 継続的なアプリ改善ができる人
UI・UXを考えることが好きな人
UI・UXを考えることが好きな人は、モバイルアプリエンジニアに向いています。
スマートフォンなどのモバイル端末は、パソコンよりも画面サイズが小さいため、限られた画面スペースのなかでアプリの魅力を伝える必要があります。そのためには、ユーザーの操作性や直感的なデザイン性が重要です。
モバイルアプリエンジニアは、ユーザーが満足するようなUI・UXを考え、実装するのが好きな人におすすめの職種です。
継続的なアプリ改善ができる人
モバイルアプリは、リリース後もユーザーの意見や要望を収集し、定期的にアップデートすることが大切です。
したがって、継続的なアプリ改善ができる人、ユーザーの声に耳を傾けられる人がモバイルアプリエンジニアに適しています。
モバイルアプリエンジニアに必要なスキル
モバイルアプリエンジニアに必要なスキルとしては、以下が挙げられます。
- プログラミング言語
- UI・UXの設計知識
- CI環境の構築
- テスト・検証
プログラミング言語
モバイルアプリエンジニアもエンジニアの一種であるため、プログラミング言語のスキルは欠かせません。モバイルアプリエンジニアで扱うプログラミング言語は、大きくiOSとAndroidで分かれるため、まずはどちらのプラットフォームに力点を置くかを決めるとよいでしょう。
たとえば、iOSであればObjective-CやSwiftを集中的に学ぶことが効率的です。
UI・UXの設計知識
モバイルアプリエンジニアには、UI・UXの設計知識も求められます。スマートフォンなどのモバイル端末の利用者はパソコンの利用者よりも幅広く、子どもや高齢者なども多く含まれます。
加えて、パソコンよりも小さい画面サイズでアプリを利用することになるため、直感的な操作ができるようなUI・UX設計が重要です。
実際のモバイルアプリ開発経験を積みながら、デザインや操作性のスキルを磨いていきましょう。
CI環境の構築
モバイルアプリエンジニアでは、CI(Continuous Integration:継続的インテグレーション)環境の構築スキルも大切です。
モバイルアプリは一度リリースしたら終わりではなく、継続的にバージョンアップをして機能改善や不具合修正を行っていくことになります。そのため、コンバイルやテストなどのビルド作業を都度実施しながら、アプリの不具合検出や機能修正をしていくスキルが求められます。
たとえば、CI環境構築ツールとしてはCircleCI やJenkinsなどが代表的です。どのツールを使用するかはプロジェクトによっても異なりますが、いずれかのツールを習得しておけば他のツールにもある程度応用が効きます。
テスト・検証
モバイルアプリエンジニアは、テスト・検証作業も重要です。モバイル端末にはさまざまな種類やサイズのスマートフォン・タブレットがあるため、テストのバリエーションも多岐にわたります。
モバイル端末のバリエーションを抜け漏れなく洗い出し、モバイルアプリの画面ズレや動作不良がないかを確認しましょう。
また、多くのテストバリエーションをこなす際は、効率性がポイントになってきます。テスト自動化のためのビルドツール活用ができると、より一層モバイルエンジニアとしての価値が高まるでしょう。
モバイルアプリエンジニアの業務内容
ここでは、モバイルアプリエンジニアの業務内容について、以下の3ポイントを解説します。
- モバイルアプリの企画、要件定義
- 設計、開発、テスト
- リリース後の運用、保守
モバイルアプリの企画、要件定義
新規でモバイルアプリを開発する際は、まずユーザーニーズの調査や市場分析を行い、どのようなモバイルアプリを開発するかの企画を立てます。
その後、モバイルアプリの機能やデザイン、予算、開発スケジュールなどを要件定義としてまとめ、モバイルアプリ開発に向けた準備を進めていきます。
企画、要件定義の段階では、クライアントと複数回にわたって打合せを実施することもあるでしょう。
設計、開発、テスト
要件定義ができたら、実際にモバイルアプリの設計、開発、テストのフェーズに入ります。設計、開発、テストと順番に進めていくことに関しては、一般的なシステム開発と同様です。
ただしモバイルアプリでは、さまざまなモバイル端末で動作検証やセキュリティチェックを繰り返し実施する必要があります。
リリース後の運用、保守
リリース後は、ユーザーが問題なく利用できるように運用・保守を行います。アプリを利用したユーザーの意見や要望を収集し、アプリのバージョンアップを定期的に実施していきます。
モバイルアプリエンジニアの平均年収・将来性
本章では、モバイルアプリエンジニアの平均年収および将来性について解説します。
モバイルアプリエンジニアの平均年収
dodaの「平均年収ランキング(職種・職業別)【最新版】」によると、モバイルアプリエンジニアの平均年収は「426万円」です。年代別に見ると、以下のようになっています。
- 20代:364万円
- 30代:503万円
- 40代:-(有効データなし)
- 50代~:-(有効データなし)
技術系(IT/通信)全体が「442万円」であるため、全体平均よりも若干低めの水準となっています。ただし、年代別の有効データが20代・30代のみであり、30代平均が503万円であることを踏まえると、実際は平均以上の水準であるといえるでしょう。
平均年収が近いエンジニアとしては、制御系ソフトウェア開発(428万円)やWebサービスエンジニア(417万円)がいます。
モバイルアプリエンジニアの将来性
モバイルアプリエンジニアは、スマートフォンの普及拡大に合わせて今後も継続的な需要が期待できます。
総務省の「令和4年版 情報通信白書」によると、日本国内におけるスマートフォンの世帯保有率は年々増加傾向にあり、2021年では88.6%になりました。
およそ9割の世帯がスマートフォンを利用している状況を踏まえると、モバイルアプリエンジニアの需要はエンジニアのなかでも特に高いといえるでしょう。
モバイルアプリエンジニアはリモートワーク可能?
モバイルアプリエンジニアはリモートワーク可能です。検証用のモバイル端末などを使って開発環境へリモートアクセスすれば、自宅などでも仕事ができます。
企画や要件定義ではクライアントと打合せを実施する機会もありますが、基本的にはオンライン会議で対応できるでしょう。
ただし、クライアントやチームの意向によっては、定期的にオフィスに集まって集中検討会などを行う場合も考えられます。
モバイルアプリエンジニアのフリーランス案件はある?
モバイルアプリエンジニアにはフリーランス案件もあります。たとえばRemotersでは、6件のモバイルアプリエンジニア案件を紹介しています(2023年3月時点)。
モバイルアプリエンジニア案件の例としては、以下のとおりです。
- Flutterを使ったBtoC向け会員サービスの新規アプリ開発(iOS/Android)
- 銀行取引アプリケーション開発(iOS/Android)
- 介護事業会社向け経営支援システムのタブレットアプリ運用業務
案件単価は、60万円~120万円程度がおおよその相場になっています。
モバイルアプリエンジニアの学習にオススメのサイト3選
ここでは、モバイルアプリエンジニアの学習にオススメのサイトとして、以下の3サイトを紹介します。
- Schoo
- Udemy
- Progate
1.Schoo
Schooは、オンライン生放送で授業が受けられる学習サービスです。講師がスライドを使いながら、生放送で細かく解説をしてくれる点が大きな特徴です。
リアルタイムなオンライン授業であるため、学校や塾のような感覚で受講でき、チャット欄を使ってタイムリーに質問をすることもできます。
SwiftやJavaなど、20種類以上のプログラミング言語を学習可能です。
Schooは、授業を聞きながら即座に疑問点などを質問できるオンライン学習環境を求める人におすすめです。
2.Udemy
Udemyは、各ジャンルのプロ講師がオンラインで講義を提供する学習サービスです。講義は有料ですが、買い切り型であるため、一度購入すれば何度でも自分で復習ができます。
たとえば、Swiftについて本格的に学びたい場合、Swiftに特化したプロ講師の講義を学べます。レビュー情報を簡単に確認できるため、受講の判断に役立てることも可能です。
Udemyは、具体的に習得したいプログラミング言語などが決まっていて、プロから効率的に学びたい人におすすめです。
3.Progate
Progateは、世界100ヵ国以上でおよそ300万人のユーザーに利用されているグローバルな学習サイトです。
主な特徴は、コンテンツがスライド講義とプログラミング実演の2パートから構成されている点です。
基本的な学習コースのみであれば、無料で利用できるのも利点です。モバイルアプリエンジニアが扱うSwiftやJavaなどのコースも用意されています。
【まとめ】
モバイルアプリエンジニアは、スマートフォンなどモバイル端末上で動作するアプリケーションの開発・運用を行うエンジニアです。
UI・UXを考えることが好きな人や継続的なアプリ改善ができる人に向いているといえます。
モバイルアプリエンジニアとして活躍するためには、プログラミング言語に加え、UI・UX設計知識やCI環境構築スキルなどが重要です。